急性腎不全のセミナー

2019.6.18

獣医師の加地です。

 

先日急性腎不全についてのセミナーを受けてきました。

 

セミナーの中で、中毒による腎不全についての話しがあったのでご紹介しようと思います。

 

 

 

・ユリ中毒

猫で認められる中毒疾患

テッポウユリ、オニユリが主体

ユリのすべての部分(茎、葉、花)が毒性を持つ(成分は不明)

かじっただけでも腎毒性が起こる

腎不全は摂取後18~24時間後に発生

ユリ摂取後6時間以内での輸液の開始は発症を抑制

予後は非常に悪い(50~100%が死亡)

 

 

 

・ブドウ、レーズン中毒

犬でのみ報告されている

摂取後48時間以内に急性腎不全を発症する

ブドウ、レーズンの何の成分が原因かは不明

体重1kgあたりブドウ32g、レーズン11~36gで発症

死亡例あり

 

 

 

 

・エチレングリコール中毒

不凍液等に使用されている

以前は保冷材に使用されていた(近年はほとんど使われていない)

甘みがあり、犬や猫が好む

致死量は体重1kgあたり犬で4.4~13.2ml/kg、猫で1.5ml/kg

エチレングリコール自体には毒性はなく、その代謝物が毒性を持つ

 

 

ワンちゃん、ネコちゃんを飼ってらっしゃる方はすでにご存じかもしれませんが、割と身近に危険なものがあります。もしもワンちゃん、ネコちゃんの行動範囲にこういうものがあるなら処分したり、口にできないよう十分注意してください。